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極限環境用ピエゾステージ

アトキューブ・システムズ社(attocube systems)の精密ポジショナーはピエゾ素子により駆動を行い、ナノオーダーのステップ幅とmmレンジの移動距離が可能です。リニアーポジショナー、ローテータ(回転)、あおり、スキャナーなどの種類があり、使用環境に応じて、室温(RT)、低温(LT)、高真空(HV)、超高真空(UHV)、及び低温+高真空(LT/HV)、 低温+超高真空(LT/UHV)のモデルがあります。またエンコーダー内蔵型では移動と同時に位置の変位を読み取ることができます。エンコーダーには使用環境と精度に応じて2種類あります。

ANPシリーズピエゾステージの動作原理

  1. 可動テーブル部がロッドに対して固定しており(Sticking phase)、ロッドとともに移動します。ロッドの端にはピエゾアクチュエータが固定されています。このピエゾアクチュエータにノコギリ波を加えます。
  2. ノコギリ波のスロープ状になっている場所では、可動テーブルはロッドとともに移動します。この時の移動量はピエゾアクチュエータに加えられた電圧に比例します。ANPピエゾステージではこのステップは室温で約50nm程度です。また極低温では10nm程度に小さくなります。
  3. ノコギリ波の垂直に電圧が下がるところでは、ピエゾアクチュエータが急激に元の長さに戻るため、可動テーブル部は慣性によりロッドに対して滑り、可動テーブルはほぼその位置に留まります。これで1つのサイクルが完了し、サイクルを繰り返すことで可動テーブルは大きな距離を移動することができます。

ステージ同士の組合せ

アトキューブのポジショナー及びスキャナーは規格化されており、例えば2個のANPx101ステージを直角に組合せ、 その下にANPz101を組み合わせることで3軸のXYZ粗動ステージとなります。多くのステージは直接つなげることができますが、違うサイズ、形状の場合、アダプタープレートが必要になることがあります。

材質

attocubeの極限環境用ピエゾステージは、極低温、高磁場中で安定に使用できるよう、標準でチタンとセラミックスから作られています。また希釈冷凍機などのmK領域で使用する場合、チタンは400mKで超伝導転移を起こすため、これを避けるためにベリリウム銅で作ることも可能です(/ULT)。また実験によっては他の材質で作ることも可能です。

極限環境用ピエゾステージの使用環境

attocubeの極限環境用ピエゾステージは、mK領域までの極低温、超高真空、高磁場中使用を前提に作られています。それぞれのピエゾステージのモデルには対応する環境に応じて環境オプションがつけられています。

極限環境用ピエゾステージは、非磁性材料を使用することで高磁場中の使用が可能です。最高31Tの磁場中で動作が確認されています。ただし、エンコーダーの種類やステージのタイプによっては最大動作磁場が変わる場合があります。特に/NUM(+)エンコーダー内蔵のモデルは最大磁場が7Tとなります。

環境オプション

すべてのANPシリーズは環境オプションにかかわらず0°Cから100°Cまでの動作可能です。ただし、/NUM(+)エンコーダー内蔵のモデルは内部に半導体が使用されているため動作温度は最高55°Cとなります。

/RT5x10-4mbarまでの高真空に対応しています。
/HV5x10-8mbarまでの高真空に対応しています。
/UHV5x10-11mbarまでの超高真空に対応しています。150°Cまでのベーキング可能。コネクターや、リード線はUHV対応の材質に変更されます。
/LT10mKまでの極低温対応。
/ULT10mKまでの極低温対応。チタンの超伝導転移を避けるためにベリリウム銅で作られます。また/RESエンコーダーの材質がmKで使用可能な材質に変更されます。

オープンループとクローズドループ

attocubeの極限環境用ピエゾステージでは、エンコーダーのないオープンループ用モデルとエンコーダーを内蔵するクローズドループ用モデルがあります。またエンコーダーには/RESと/NUMの2種類あります。

オープンループ

エンコーダーを持たないピエゾステージでは、その位置決めを実験で得られるシグナルや他の手段で行う必要があります。ステージから出てくるリード線は2本のみなので取り回しが比較的簡単に済む、熱流入を抑える、ステージにかかる力を最小限に抑えるなどのメリットがあります。

クローズドループ

エンコーダーを使用してステージの位置情報を得ることで、フィードバックによりターゲットとなる位置へ自動的に移動させる制御方法です。attocubeのピエゾステージでは2種類のエンコーダーがあります。また制御にはANC350コントローラを使用します。

  
/RES: 抵抗式エンコーダー
抵抗式エンコーダーの動作原理は、ポテンショメータと同じです。極低温や高磁場中など比較的環境に左右されにくいのが特徴です。/RESエンコーダーでは、両端に電圧を加え、中間端子に出てくる電圧を測定し、これらの比を取ることで位置情報に変換します。この方法で位置再現性は2-3µm程度の精度が得られます。1K以下の極低温では、温度依存性が小さい/RES+エンコーダーが使用されます(/ULTオプション)
/NUM: 電子制御式光エンコーダー
/NUM, /NUM+エンコーダーでは、ガラスの回折格子から来るモアレ縞から位置情報を得ます。非常に高い制度で位置情報が得られ、1nmの分解能と50nm程度の位置再現性が得られます。測定は変位測定であり、内蔵されるリファレンスを通過することで絶対位置に変換します。エンコーダー内部に電子回路を持つため、室温専用となります。(真空可)また磁場に対しては7Tの磁場まで動作できます。真空中で使用する場合、内部の電子回路から来る発熱が問題になる場合があります。その場合発熱を押さえた/NUM+を使用します。
/FPS: 干渉変位計によるクローズドループ制御
ANC350とFPS3010やIDS3010を組合せて、光干渉による変位測定を使用したクローズドループ制御が可能です。25pmの分解能と2nmの位置再現性があります。光ファイバーフィードスルーを使いクライオスタット内や超高真空チャンバー内でクローズドループ制御を行うことができます。この組合せを使用する場合、ピエゾステージ内部ではなく、外側にミラーなどの光学系を置く必要があります。

極限環境用ピエゾステージの種類

LinearRotatorGoniometerScanner
   

直動ステージ

可動範囲が2.5mmから20mmまであり最も多くの種類があります。1ステップあたりの移動距離は室温で50-200nm程度、極低温では10nm程度になります。ただし、可動範囲は温度に依存しません。接地面に対して水平に動くANPxと垂直に動くANPzがあります。ベアリングが入っているモデルは耐荷重が高くなっています。

回転ステージ

両方向にエンドレスに回転します。エンコーダーは全周ではなく測れない角度範囲があります。

ゴニオメーター

θ軸とφ軸用ステージがあり、通常φ軸ステージの上にθ軸ステージを載せることで、共通の中心の周りで回転する様になります。

スキャナー

ピエゾアクチュエーターの変位を機械的に拡大しそれぞれの軸方向の動きを作り出します。ステップで動くANP,ANR,ANGと違い連続的に動くためSPMなどのスキャン用などに使用されます。

コントローラ

ANC300: オープンループ制御用コントローラ
エンコーダー無しのピエゾステージに使用します。モジュール構造になっており、3種類のモジュールを必要な軸数分(最大7つ)のスロットに差し込んで使用します。モジュールにはSTEP動作用, スキャナー用、両動作用があります。
ANC350:クローズドループ制御コントローラ
エンコーダー読み取り機構が内蔵されており、設定位置に自動的にステージを移動することができます。(クローズドループ制御)、エンコーダーの種類により/RES用,/NUM用を選択します。チャンネル数は3チャンネルです。

アクセサリー

ATC100: サーマルカップリング
ピエゾステージ上の試料が真空中にある場合、ピエゾステージの素材であるチタンは熱伝導が低く試料をステージだけでは冷却できません。ATC100は熱伝導度が高く、しかも柔らかい素材でできておりステージの動きを妨げずに試料を冷却します。
AAP: アダプタープレート
ステージを複数個組合せる場合、組み合わせによっては直接接続できない場合があります。その場合アダプタープレートを使用します。
VFT: 真空フィードスルー
ピエゾステージが真空チャンバーやクライオスタット内にある場合、真空フィードスルーが必要になります。真空度に合わせてKFかCFフランジを選択します。
ASH: 試料ホルダー
ピエゾステージに直接取り付け可能です。電極付きのもの、手早く試料を交換できるものがあります。